加速度センサー

生理学実習の「拮抗筋の働き-筋電図」では、腕の位置を維持ながら腕に加わる負荷が大きくなると、筋電図がどうなるかというのがある。これだけではたいしたことがないし、学生に考えてもらう事も少ない。そこで、急激に負荷が加わったとき、予測した・しなかったで筋電図はどのように異なるかを調べさせている。

昨年度までは、1−2−3の合図で負荷を加える、1−2−3の合図があるものの負荷を加えるタイミングを変えて被験者に知られないようにするという課題を行わせた。しかし、学生が実習目的を十分理解していないので、負荷を加えたときのタイムマークの入れ方がでたらめで、結果を考察できない。

そこで、負荷が急激に、実際に加わった瞬間をマークすることにした。簡単である。加速度センサーで負荷が加わったときを検知すればいい。加速度センサーはゲーム器や携帯機器で使うので、容易に安価で手に入るようになったからである。

記録はデータ収集システムPowerLab(要するにADコンバータ+パソコン)でChartというソフト(ペンレコーダですな)を使う。PowerLabの前面パネルにはDIN8Pコネクタがあり、既製品の〜ポッドを接続するのだ。〜とは、例えば握力計であるストレンゲージなどのインターフェースのことだ。用意されている各種インターフェースはどれも単価が10万円以上する。入力に加え± 5 Vの電源も供給している。これが利用できる。デジタル信号処理のための入出力もあるが、こっちは理解できるデータがない。アナログ部分だけがわかるのだ。

MMA7361LCという3方向加速度センサがあり、秋月電子でキットが売っていた。キットといっても手作業でできるように2.54 mmピッチ基板端子に変換してあるものだ。コンデンサーも付いている。こいつを使うことにして以下のような回路図で作成した。Z軸方向の加速度しか測定しない。

20130725accerate_sensor

 

最近のこの手のICは電源が 3 V で使うようになっている。PowerLabのlogicは昔ながらの 5 Vで動作するようになっているのだろう。だから5 V→3.3 V電源IC(S-81233AY-B-G)も必要だ。電源ICの入出力にコンデンサを付けるのが普通だが、面倒なので実際は省いた。0.1μF でも付けるべきなんだろう。無くても発振しなければいいのだ。

センサICの文字面を下にすると、0.9 V位の出力になる。800 mV/g の高感度のモードにする。電源電圧が+3 V だからこのモードで±1.6g が測定範囲だ。ソフトの方でオフセットと単位換算を行うことにする。つまり0.9 V= 0 g、0.1 V= 1 g にするのだ。このくらいの精度で問題ない。

こいつを小さなアルミ箱(タカチ アルミケースMB-S1)にエポキシ接着剤で固定し、このケースを木の板にねじ止めする。この装置をバケツの底に置き、被験者にはバケツを持って肘を直角に維持してもらい、このバケツ内に 2 kg の重りを落とすわけだ。上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋電図を記録し、解析してもらうわけだ。

1台組み立ててみた。加速度の大きさは問題にしない。急激な加速度変化があったときを検出するだけだからだ。バケツは別にして、すべての材料費は@1,000円以内だ。設計制作の人件費はただというか、給与の中だな。これを外注すると10倍以上、ADInstrument だったら100倍の値段だろ。

20130725accelarometer-1     20130725accelarometer-2

何故、板に取り付けたかというと、直接この小さなアルミ箱をバケツの底にとりつけたら、重りがぶつかって変形しちゃうからだ。この板に足をつけてバケツの底に置く事にした。バケツは金属がいい。プラスチックは耐えられない。金属のバケツでも歪んでくる。バケツの内側の底を木の板で補強し、センサを外側に付けることも考えられる。バケツの底は縁があってこの縁の高さ以内にセンサが収まれば、底の外側でもいいのかもしれない。

重り(実際は2 kgのダンベル)を落とすとうるさい。ただでさえ実習はうるさいのでさらに騒音を増やすことはない。だからさらに雑巾を敷いてダンベルが直接木の板にふれないようにクッションを付けた。クッションを置くというのは加速度の正確な測定に反するが、加速度の大きさを計るわけじゃないのでいいのだ。加速度の方向と急に変化した時点だけがわかればいいのだ。うるさいよりましだ。

そんで、実際に測定してみた。

20130725accelarometer-3

 

図の上の方が下向きの加速度だ。左からセンサーを自由落下させた、センサーを硬い机の上に置き上から2kgのダンベルを落とした、机の上にスポンジを置きその上にセンサーを置きダンベルを落とした、バケツの中にセンサーを入れ、バケツを持ち自分でバケツの中にダンベルを落とした、第三者に予告無しにダンベルを落としてもらった、1−2−3の合図をしてもらってダンベルを落としてもらった、である。

自分で落とすと、特に意識していなくても落とすタイミングがわかるので最初に基線が下に振れその後急に上向きになる。つまりダンベルが落ちる前に上向きの加速度が生じている=バケツをあらかじめ持ち上げているのがわかる。意外だった。なるべく意識しないように落としたつもりだったのだが、何回か繰り返していたので無意識にバケツを上に持ち上げているのだ。同様に合図をもらうと、落ちてくる前にバケツが上に落ち上げているのがわかる。合図がないと、つまり予告がないといきなり下向きの加速度が記録された。これと筋電図の同時記録と組み合わせて記録したら学生が考察できるだろう。

昨年までは筋電図が大きくなる時点とマニュアルでマークしたダンベルを落とした時点を比較させていたのだから、格段の進歩となるはず。

まてよ、上向きの加速度は上に振れるようにupside-down にすべきかな?こういうところで学生は混乱するからな。ソフトの方で逆転できる。それともセンサ出力をマイナス入力に接続するかな。

[追記]

上向きの加速度が上(プラス)に振れるように、マイナス入力をZ出力につなぎ、プラス入力は解放にした。本体内のinstrumentaionアンプの入力は1MΩでアースに落ちているから解放でも問題ない。

最終的な回路図だ。加速度センサーキットの基板にはゲイン調節用のジャンパー線接続部がある。これをショートしてゲインを下げた。800 mV/g を206 mV/g にした。

20130725accelarometer-4

To be continued.

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