無影灯

外科手術現場では、手術部位を照らす照明に
無影灯(Surgical Light)と呼ばれる物を使う。
点光源だと影ができるので面光源にして影ができにくくするわけだ。手術部位にアプローチする人が複数いると特に必要になる。面光源は普通ないから、多くの電球を面に並べたものになる。昔は普通のタングステン電球だったらからすぐ切れた。そのうちハロゲンランプが普及して、一灯で十分明るいから、このランプに摺ガラス様のガラス板を挟んで面光源かの様にするものが出てきた。最近は高輝度のLEDが容易に手に入るので、LEDを面状に数多く配置した安い無影灯が出てきた。左の図はLEDが19個並んでいる。数万円だ。

従来の無影灯は50Hz(関西では60Hz)の電源でドライブされている。外科手術を伴う実験で、脳波や心電図などの生体電気信号を取り扱う場合、この50Hzが電磁波ノイズとなり邪魔なので、光源はシールドする必要がある。昔の無影灯は鉄板等で構成されており、反射板も金属なのでシールドが容易だった。大量生産される物でもないので、ねじ止めで組み立てられているから、分解改造が楽だ。

ところが上の写真の様なLED光源スタンドはプラスチックの嵌め込みとか、ネジ穴の部分はパネル(ラベル)などで覆われていて

シールドの改造が面倒だ。それでも、電源スイッチや調光スイッチのある部分のパネル(シート)を剥がし、ネジ穴(上の写真の赤丸部分)を見つけ、箱を開けて、2芯のプラグ・アース線なしの電源コードを3pのプラグ・3芯電源コードに交換し、LEDのハウジングと発光面に銅網を取り付けそれぞれアースに落とし、シールドした。

LEDはパルスで駆動している様で、発生するノイズには50Hzに加え数百Hzのパルスがあるのだが遮断できた。もっとも生体電気記録用電極に10 cm とかの至近距離にしたらダメだろうが、その様な状況はありえないので問題ないだろ。

昔のハロゲンの無影灯(左図、当時ん十万円)があるわけで、このハロゲンランプが切れるのは目に見えていて、予備のランプは製造中止で在庫もない。このランプの代わりに自動車のヘッドライトのLEDランプ

の様なものを使うことを企んでいる。これだったらランプ1ケが2千円以下でハウジングをうまく作れば、容易に交換可能になるだろう。そもそもハロゲンランプは低電圧で駆動するから、トランスが台座に仕込んでありこれをそのまま利用して整流ブリッジを使えばDC12Vの仕様に簡単に合わせることができるのでは。12V3Aのレギュレータが必要かな?レギュレータもこんなのでよかったら高価ではないようだ。

ヘッドライトで無影灯を作るに続きます。

「無影灯」への5件のフィードバック

  1.  直流に変換したほうがむしろ手間がかからない気がする。

  2. 車のヘッドライト 用のLEDだったらDC12Vで輝度調節などないから3Aくらい流しっぱなしで、AC100VからDC12Vを作る電源部を除いてシールドの必要はないでしょう。
    この記事にあるサンワのLED証明スタンドは輝度調整があって、数約HZのパルスの幅(だと思うけど)で調節しているからLED部分のシールドが必要になります。
    ハロゲンランプはAC20V位(未確認)数アンペアでドライブするのでランプの部分はシールドが必要ということになります。
    いずれにしろ、電源としてAC100Vを使いますので、金属ケース部分はグラウンドに落としておく方がいいわけです。

  3. 自動車のヘッドライト用のLED電球は専用のICで、内部で定電流制御されていますよ。
    このICがやはりパルス制御(スィッチングでの定電流)なので、かなりノイズが出ます。
    外来ノイズが問題となる光源としてなら、LEDの電源としてはトランス+整流ダイオード+抵抗(たぶん相当発熱する)またはアナログ的な定電流回路で光量調整を組まれた方が良いと思います。

  4. 定年再雇用さん

    情報ありがとうございます。現在作成中で、シールドが必要かどうか確認してみます。
    DC12V3Aのスイッチング電源がまだ手に入っていないので、実験用のDC電源で動作させてみてノイズの有無をご報告しますので少々お待ちを。

  5. 定年再雇用さん

    実験用直流電源で12V2A位(本来は3A)で点灯し、100 kΩの抵抗両端のアンプに接続し、オシロスコープで観察してみました。

    スマホの撮影なのでスイープ全長が撮影できません。一部だけしか写真にならないので2枚の写真を合成した図です。間に白線を入れて、インチキゲル写真にならない様にしています。左半分が点灯していない時、右半分が点灯中です。20 μv/DIV です。無影灯のケースが金属なのでこの部分をアースにそして電源のマイナス側をアースに落としています。
    ノイズ測定用の100 kΩの抵抗はLEDランプから10cm位の所に置いた場合です。ヘッドライトLED電球の後ろにファンがあって、このファンに抵抗を近づけるとファンからのノイズが検出されますが、少し離せば見えないくなります。LEDをスイッチで駆動しているとしたらその発振ノイズが見えるはずですが見えません。
    実際には無影灯は近くても数十cm離れていますので、シャーシをアース(AC電源の)に落としておけば、50 Hzノイズノも出てこないでしょう。
    というわけで、無影灯のケース金属部分を電源のグラウンドに落とし、LED電源のマイナス側をグラウンドに落とせば問題ない様です。
    車のLEDヘッドライトはインバータ一体型、ノイズキャンセラー内蔵となっていますが、このインバータについてはノイズの面から見たら、無視できそうです。

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