遂に廃棄処分に

生理学実験では生体に電気刺激を与えてその反応を見るという実験が普通に行われます。その電気刺激するための機械は、普通、パルス・ジェネレーターとアイソレータから成ります。アイソレータと何ぞやということはちょっと横に置いておいて、パルス・ジェネレーターが廃棄処分になっちゃったという記事です。

日本光電という医療分野の会社があって、主に電気を使う医療機器を販売する会社なのです。この会社がデジタル・パルスを自在に組み合わせるパルス・ジェネレーターをつくり、日本の医学部の生理学教室にほぼ行き渡るような製品を販売したのです。当時のヒット商品で、これに類似した機器を作った後発会社が特許侵害で販売できなくなっちゃったという製品でした。内容は、TTLを組み合わせた比較的単純なロジックの製品だったのです。
ですが、当時の拙ブログ管理人の実験では、この機械だけでは能率よくできないプロジェクトを実施していたので、改造しちゃったわけです。その結果の機械は下の写真にあるようなものです。

きっっちゃないですね。なんせ実験は麻酔した動物を外科的な処置をして行うわけで、とりあえず操作するとき血みどろの手だったりするわけで、どうしても手垢にまみれます。
本来の機械は下の写真のようです。

きちゃないのを除いて、あまり違いがないように見えますが、3チャネルあるパルス・ジェネレーターを完全に独立して駆動できるような入力を加えてあるのです。

苦労して作成したこの機械も、拙ブログ管理人同様寄る年波には逆らえず、パルスの出力電圧が十分でなくなってしまったので、処分することになりました。代替の製品があるからです。原因は、内部のコネクタ部分の接触不良だと思うのですが、修理しようとすると、プラスチック部分が劣化していて、割れちゃうのです。あきらめました。現在は、こんな改造しなくても構わない研究ですからね。

多分30数年は使った代物です。ご苦労さまでした。

「遂に廃棄処分に」への3件のフィードバック

  1.  修理して使う、という文化がすたれていくのはいささかさみしいですな(修理にかける人件費が、新品を販売する人件費を超えてしまったから、ということになりましょうが)。
     生命の恒常性維持は「新品にまるごと交換」ではなく「部分的に交換」なので、あらたな生命反応を研究する人は「修繕して使う」感覚を保持していたほうが、あらたなひらめきを得るにはよいような気がする。
     

  2. 科学誌印刷業者さん

    小生はこういう機器を修理して使うというのが趣味みたいなところがありまして、修理改造をよくやりました。だから、修理を業者に依頼すると、その見積もりがべらぼうで、新品購入と差がないなんてことがあると、何故?と聞くわけで、殆どの場合が、その内容が修理でなく交換なんですよね。故障部品を見つけ出す人件費より、ごっそり交換したほうが安いのが現実ですね。
    使う方も機器をブラックボックスとして取り扱う方が楽で、内部の仕組みなんて興味が無い方が多いですね。

  3.  そう、もはや趣味で金銭面を度外視して取り組むしかない。
     必死にブラックボックスのしくみを探り、修理の可能性を考え、あれこれ試し、失敗したらものすごく落ち込み、それでも「次こそは」と気持ちを奮い立たせ、ってのは科学の営みにも通じるものがある。
     左目にスコープ、右目で超高速点描(まるで機関銃!)なんて光景が、むしろ講義よりも尊敬を集めたりしていた時代でしたねぇ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください