お愛想

寿司屋でお愛想といったら、お勘定してね、今日はこれまでよ、という意味だ。

論文を投稿したときのレフリーのコメントの最初の段落は、この研究分野における投稿論文の位置について、ものすごく端的に要約したパラグラフであることが多い。基本的にレフリーはエディター(雑誌の編集者(研究者でもある))に依頼されたのでその返事を書くわけで、この返事がエディターから投稿者へ伝わることを意識して返事するわけだ。レフリーは、投稿論文の該当研究分野での立ち位置を説明することで、自分がこの研究分野に精通していることを示し、誤解していないよと示すことが、この最初のパラグラフにあることが多い。エディターがレフリーを評価することをレフリーはわかっているからね。ここで素っ頓狂な意見があったら二度とレフリーの仕事は回ってこないし、エディターが秘密を守る保証はなく学会での立ち話の話題にもなるからね。

そして、投稿論文の評価も端的に示す文を含むことになり、もしこの論文が正しければ、該当研究分野における貢献はすばらしいことになるというようなお愛想が書いてあるのは(特に結論がrejectのとき)よくあるパターンなのだ。投稿者も読むことを意識しているのだ。

女医さんはSTAP論文のScienceのレフリーの評価が公開されているので、これを読んでレフリー3のコメントを評価している。

レフリーの返事の最初パラグラフは上記のようなことが書いてあるわけで、その次のパラグラフの However, から始まる部分が、この投稿論文の具体的な評価になる。多くの場合、批判的な評価になるので、最初のパラグラフでお愛想を言って、しかしながら で次のパラグラフで具体的な評価や、欠点の指摘が続くわけだ。

だから、「ノフラー氏に言わせると…」で、2018/6/3(日) 午後 9:14 [ plus99% ] さんが「howeverで始まる段落は文章のキモ」と言ったのはplus99% さんが正しく理解していることになる。これに対して2018/6/4(月) 午前 9:07 学とみ子 さんが「キモは前の文章部分です。」といって本文に「これらの結果が再現可能であれば、発達生物学のパラダイムが変わるだろう。」とアンダーラインで強調した訳を記載するのは、査読の結果を読めないことを意味している。あまり査読付き雑誌に論文を投稿したことがないから理解できていないのだと思う。お愛想をまともにうけとったらだめなんだよね。世の中にはそういうこと、いっぱいあるでしょ。

こういう、一見、都合のよさそうなところをつまみ食いするのが擁護の方々の共通項のように思えますな。