オープンキャンパスのデモ実習

どこの大学でも学生を集めたいのでオープンキャンパスが実施される。弱小大学では年に数回開催されるのが普通だ。昨日は、あっちの大学のそのうちの最後の開催だ。入学試験が始まるので9月の中頃が、最も遅い時期で、最初は5月ころ開催される。

オープンキャンパスでは、いろいろな催し物 がある。大学の学部学科の説明は当然だが、ほかに試験の情報とか奨学金の相談とかだ。その一つにデモ講義がある。今回は実習のデモもやろうということになり、管理者に白羽の矢がたったわけだ。

準備に負担がなく、不特定多数の学生が行う実習ということで、コメディカル大学のオープンキャンパスでは筋電図を記録するなんてのがお手軽なのでよく選ばれるわけだ。訪問してきた高校生が、高校ではやったことのない実験で、なおかつ、安全で、準備も必要がなく、目に見える結果がすぐ出るというと、筋電図の記録は最適だ。だから多くの大学でやっているようだ。

他の大学でやっていることとは、電極を手足に付け、歩かせたり、ダンベルを持ち上げたりするときの筋電図をモニターでオンラインで見せるだけだ。管理者はこれと同じでは満足しないわけで、なにか差をつけたものがいいと、当然考えるわけだ。そこで、 Backyard BrainsのHuman to Human Interfaceを購入して、二人被験者で筋電図を記録しつつ、もう一人の筋を収縮させるというのを企画したわけだ。この機器の購入の予算を申請したらオープンキャンパスの予算で賄えないということで却下。学部長裁量予算に申請したけど却下された。しょうがない、これを複数台購入するのは研究費では足りないので自作することにした。自作するのなら、サーボモータを使って、パワードスーツの原理もデモしてやれということにしたのだ。

参加者者の上腕の筋電図を記録して、その大きさに対応して、腕の模型が動くわけだ。

20150913OpenCampusDemo-1

この写真は左の女の子の肘関節を曲げる上腕二頭筋と肘関節を伸ばす上腕三頭筋の筋電図を記録している。ダンベルを持って肘を曲げ伸ばしすると、筋電図が変化するのがモニターで見える。ここまでは、どこの大学のデモと変わりがない。

ここでは、腕に力を入れると、中央の黒い箱についている”腕”が、

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発揮する力に応じて(正確には発生した筋電図の大きさに応じて)回転するわけね。パワードスーツの原理ね。

そして、同様に筋電図が発生すると、刺激装置を駆動して他の人の腕に付けた電極に電流を流し腕がピクピク収縮するわけだ。

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オープンキャンパスに訪れた親子が被験者になって、女子高校生が腕に力を加える動作を行こなうと、お父さんの腕がピクピクしている写真なのね。動画じゃないから見えないけど、様子がわかるでしょ。

このデモ実習には40名位の参加者がいたが、そのほとんどが一人だけできているわけだ。被験者になる人は?と募集したが誰も手を挙げない。二人組できた運動部の仲間のような男子高校生が二人なので手を上げて、大騒ぎでやっていた。この実験セットを4つ用意したわけだが、他はなかなか参加者が名乗り出ない。見物しているだけだ。それでもなんとか、自分では名乗りでないけど、興味がありそうな高校生を捕まえてやってみたわけだ。

つまり、実際に測定したり、刺激されたりした人以外には、あまり受けなかったという結果になってしまった。いまいち、興味をそそらなかったようだ。実習だからな。座学のように全員が均等に何かを得るわけじゃない。

現役大学生には大受けなんだけどね。

どうすれば、もっと受けるようにできるのか、反省しているわけですね。

むずかしいな。